石誕2012 
 耳元でチョコレーツの着うたが鳴り、寝ている俺を起こす。

 軽快なアイドルサウンド。

 こないだ英二が勝手に設定した、英二専用の着うただ。


 あ、英二からの電話か…。


 頭はなんとか覚めたけど、目がまったくあかない。

 手探りで携帯を探し当て、通話ボタンを押す。

「もしもし、えいじ?」

『大石、ごめんっ』

 携帯の向こうから、焦った英二の声が聞こえてきた。

「え、なに?」

 寝ぼけた頭では、どうして謝られてるのかまったく見当がつかない。


 英二に謝られるようなこと、されたかな…


 考えながら、ふと睡魔に引き込まれそうになり、カクンと携帯が耳から離れた。

 すぐに気づいて持ち直し、身体を起こして、閉じてた目を少しあける。

 時計の針は3時をさしてる。

『俺ね、12時きっかりに電話しようって思ってて、つい寝ちゃってさ。今さっき起きたんだよ』

 すねたような口調でいわれ、俺はなんとなく理由がわかった。

「そっか、ありがとう」

『…まだなんもいってねぇし』

「そうだけど、うれしいよ」

『だから、いってねぇってば』

「じゃあ、聞かせて?」

『……誕生日、おめでと』

「ありがとう」

『あー、失敗したな。こんな時間に、マジごめん』

「いいよ。一番最初に聞けたから」

『うん。俺も、一番に言えてよかった』

 満足げな英二の声。

 毎年、俺の誕生日にはこうして一番に「おめでとう」をいってくれる。

「早く、会いたいな」

『マジ?』

「うん」

『んじゃ、外見て』

「え?」

 いわれて、ベッドから降りカーテンをあける。

 内側の窓をあけると、うちの前に手を振る英二の姿。

 一気に目が覚めた俺は、慌てて下に降りて玄関を出た。

「英二、なにやって…」

「やっほー、大石。来ちった」

 これから学校へ行けそうな格好の英二がそこにいる。

 呆然としてる俺に、英二はXサインを出し得意げな顔で笑う。

「朝ごはんもちゃんと用意してきたから、このまま泊まってい?」

「いいけど…とにかく、中に入って」

 肌寒さに耐えかねて、英二を家に招きいれた。

 GWに入った季節といえど、パジャマ姿だったせいか、ちょっと耐え難い。

 部屋に入ると、英二は着ていたパーカーや制服を脱ぎ始めた。

 制服の下にはパジャマを着ていて、なにもかも準備万端のようだ。

「用意がいいな」

「まあね。んじゃ、寝よっか」

 当然のように俺のベッドに入る英二。

 俺はその横に身体を滑り込ませ、英二をぎゅっと抱き寄せた。

 いつもの英二のにおいに混じって、外のにおいがする。

「寒かっただろ」

 俺の唇が、冷えた英二の額に当たる。

「んー、でも大石のこと考えながら来たから、あんま感じなかったかな」

 英二の腕が、俺の背中を抱き返してくれる。

「あんまり無茶なことしないでくれよ」

「だって、会いたかったんだもん」

「…うれしいけど」

「じゃあ、いいじゃん」

 クスクス笑う英二がかわいくて、今どんな顔をしてるのか見たくなった。

 少しだけ身体を離すと、きょとんと英二が俺のほうを見る。

 なんどか瞬きしたのを見てから、俺は英二の唇に自分のを重ねる。

 うっすらと開く英二の唇に、舌を這わせて、ゆっくりとその中を味わう。

 弾力のある舌が絡み付いて、唾液もいいだけ交換しあい、身体の奥から熱くなる。


 明日は学校なんだけど…


 このまま進んでもいいんだろうか、と頭を悩ませてると、英二の手が俺の肩を押し返した。

「英二?」

「今日はここまで。続きは学校終わったらにしよ」

 と、英二のほうからかわされた。


 そ、その気にさせておいて…

 英二がそういうなら仕方ない。

 ここで強行突破してもいいことはない…と思う。


 合意じゃない行為は趣味じゃないし、と思い、昂ぶった身体を落ち着かせようと深呼吸してみた。

「…我慢してんの、大石だけじゃないから」

「っ、わ、わかってるよ」

「おやすみん♪」

「おやすみ…」

 にっこり笑って、英二は目を閉じてしまった。

 抱き合ったまま、俺だけが悶々としている。


 ぴったり身を寄せて眠るのが、こんなにつらいとは思わなかった。

 っていうか、俺を夜中に起こしておいて、散々煽って自分だけ寝てしまうなんて。

 ちょっとひどくないか?


 放課後、までか………


 なんど考えても数時間先になるのは変わらない。

 早く寝てしまおう、と無理やり目を閉じる。





 それが英二の作戦だったことも知らずに。



.。o○o。.★.。o○o。.☆.。o○o。.★.。o○o。.☆

くっそー!
ギリギリアウトかぃ!
今年の石誕SS、UPいたしました。
つかここ、1年ほど放置だったのね。
ホント、スミマセン。

なんか続きっぽくしちゃった。
英二の作戦編はまたいずれ。
お楽しみに〜♪
05/01(00:08)

 晴海≫おもしろかった 05/01(00:23)/1
 晴海≫美月様、大石誕生日ssをupして頂きありがとうございます!!待っておりましたwwwこのお話のその後もとても気になります><一人その気にさせられる大石が可愛いです!! それから、大変遅くなりましたが「青春エロ倶楽部」のURLを連絡下さりありがとうございました!!とても楽しませて頂いております♪ 05/01(00:37)/2


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