石誕2011 
 4月30日。
 今日は祝日だから、学校は休み。
 でも10時から部活があって、その後大石とダブルスの作戦会議をするために、大石の家にお邪魔していた。
 そろそろ薄暗くなってきたころ、大石ンちのおばさんが部屋をノックして入ってきた。
「英二くん、今日は夕飯食べていきなさい」
「え、もうそんな時間?」
 時計を見ると、18時を少しすぎたところだ。
「結構時間たってたんだな」
「う〜ん、でもさぁ…」
「これから帰ったら、また遅くなっちゃうでしょ。うちで食べて、ついでに泊まっていきなさいよ。明日は土曜日なんだし」
「そうしろよ、英二」
「んー、じゃあ母ちゃんに電話してみる」
「そうしなさい。今夜はカレーよ」
 そういって、おばさんは部屋を出てった。
 俺は早速うちに電話して、大石の家で夕飯をご馳走になって、ついでにお泊りもしていくことを告げた。
 初めてのお泊りでもないので、母ちゃんもうるさいことはいわず「粗相のないように」とだけいって電話は切れた。
「やった、お泊りぃ」
「おばさん、いいって?」
「うん。もう何回も泊まってるかんね。うるさいこといわれなかった」
「そっか、じゃあさっきの続きな」
「オッケィ」
 俺たちはまた、プロ選手のDVDを見ながら、あーでもないこーでもないと話し始めた。





 夕飯もお風呂までもご馳走になった俺は、気持ちよく火照った身体で大石の部屋まで行った。
「お風呂空いたよ〜」
「じゃあ、俺も入ってくるよ」
「ほ〜い」
 大石が部屋を出てくと、俺は大石のベッドにどさっと寝転んだ。


 実は、今日は泊まる気満々だったんだよね〜。
 Tシャツの替えもこの季節じゃ穿かない短パンも一枚余分に持ってきてたんだ。
 歯ブラシは、俺のカバンの必須アイテムだから誰にも疑われないもんね。
 それにしてもうまくいった。
 おばさんに感謝だな!


 にやにやとそんなことを考えながら、大石の枕に顔を埋める。
 埋めた鼻からスーハーと、思いっきり嗅いだ。


 大石のにおい。
 病み付きになりそうなにおい。
 なんで大石って、こんなにいいにおいなんだろう。
 なんかつけてんのかな。
 大石に限ってそんなことなさそうだけど。

 ………やべ、なんか変な気分になってきちゃった。
 あ、ちょっと勃ってきた。
 どーしよー。
 大石、さっきお風呂行ったばっかだよな〜。
 ちょっとだけ、触っちゃおうかな。
 すぐ出るよな、きっと。


 俺は、起き上がって壁にもたれると、さっき穿いたばかりの短パンと下着をずらし、半勃ちになってしまったものを軽く握った。
 少し擦ってみると、若いせいかすぐに熱を持ち始める。
 でも、さっきより興奮が弱く感じ、俺はまた身体を倒して枕に顔をつけた。
 大石のにおいを嗅いだとたん、握ってたものがさらに質量を増したのがわかった。


 俺の身体って、正直だにゃ〜。
 つーか、俺って大石のにおいでも簡単にイケちゃうんだ。


 シコシコと擦りながらそんなことを思って、指先が濡れるのを感じた。


 あ、ティッシュ…


 ベッドの下にあったのを思い出し、擦りながら起き上がると、ドアがガチャっと開いた。
「あ」
「うわっ!」
 俺より入ってきた大石のほうが驚いてた。
「え、英二、なにやって…」
「ごめん、ちょっと一人でしたくなっちゃって」
「したくなっちゃってって……」
「だって、ここ大石のにおいいっぱいすんだもん。嗅いでたら変な気分になっちゃってさ〜」
「だからって、一人でするなよ」
 大石が後ろ手にドアを閉める。
 気づけば、大石もTシャツにスウェット姿で、片手にタオルを持っていた。
「お風呂、終わったの?」
「うん」
 逆の手に、コーラが2本握られてる。


 持ってきてくれたんだ。


 ローテーブルにそれを置いて、大石はまっすぐ俺に近づいてきた。
 俺はそれを見ながら、自分が下半身丸出しな事に気づく。
 仕舞おうとしたそれを、大石の手が止めた。
「大石?」
「一人でするなっていったろ」
 そういって、大石がアレを握ってる俺の手の上に、手を乗せてきた。
「ちょ、……」
 止めるまもなく、俺の唇は大石に塞がれる。
 俺に抵抗する気はない。
 つか、抵抗なんてしない。
 気持ちよくてもっとって、ねだるほどだ。
「ん、おーいし…そこ、やっ……」
「なにが嫌だって?」
「嫌じゃ、ない………はやく、っ」
 俺は空いてた片手を、大石の背中に回して先を促す。
 返事の変わりに、濃厚なキスで口の中を舐められた。

 俺は身体も脳みそも溶かされる勢いで、大石の愛撫に身を任せた――――




 ふと目を覚ますと、隣に大石の寝顔。
 夜光塗料の塗ってある針が示す時間は、0:45。
「大石、大石」
 隣ですやすや眠る大石を、揺り起こす。
「……ん、なんだ?英二」
 寝ぼけ眼の大石が、かなり可愛かった。
「誕生日、おめっと」
 そう、今日は4月30日。
 大石の誕生日だ。
「…………………ありがと」
 理解するのに時間かかりすぎだろ。
「あーよかった、一番にいえた」
 企んでたお泊りの目的は、コレ。
 誰よりも先に「おめでとう」が言いたかったんだ。
「もしかして、コレのために泊まった?」
「バレた?」
 おどけていうと、少し噴きだすように笑った。
「プレゼントは?」
「んー、俺?」
 さっきもしたけど、1回で終わっちゃったしね。
「もっともらっていいってことかな?」
「ど〜ぞ、遠慮なさらず」
 こういえば、きっと大石は「無理だろ」って言うんだよな。
「じゃあ、遠慮なく。いただきます」
「え、マジ?さっきもヤったじゃん」
 予想外の返事で戸惑ってると、あっという間に組み敷かれる。
「英二がいいんならいくらでも大丈夫だけど?」
「……優しくね」
「できるかな〜」
 わざと怖がらせるような言い方をしながら、俺に触れてくる手は優しい。
「残さず食え」
「了解」
 もう1回、一緒に溺れる時間の始まる。

 大石の生まれた日に感謝しながら、俺たちはお互いを強く引き寄せた。――――


【おわり】
.。o○o。.★.。o○o。.☆.。o○o。.★.。o○o。.☆

石誕!間に合いました!
でもまたもや無計画の突発で書いたから、なんかよく分かんないものに…すみません。
もっと計画を練ろう!
つか、英二の一人Hって…。
一応、表に飾るので軽めなんですけど。
ダメだった方、ごめんなさい!!
04/30(03:10)



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